鳥類の診療

鳥と人、どちらの幸せも大切にする診療を
ストレスに敏感で症状を隠しがちといわれる鳥たちに配慮し、鳥にも飼い主様にも優しい診療を行います。
鳥との生活の仕方は人それぞれであり、病気をどのように治療するか選択肢も1つではありません。鳥たちの症状をよく見て、治療や病気についてわかりやすくご説明した後に、しっかりとご相談させていただきます。
爪切り、嘴のトリミング、飼育相談、病気の診断・治療、外科治療まで広く対応します。少しでも一緒に過ごしていて不安がございましたら、お気軽にご相談ください。
飼い鳥によくある症状
下記の症状がみられるときに、よくある病気をご紹介しています。
少しでも気になる症状があるときは、お気軽にご相談ください。
鳥の健康診断
犬や猫では、ワクチンや総合栄養食、避妊・去勢手術、健康診断の普及により、健康でいられる寿命がかなり長くなりましたが、飼い鳥においてはいまだ不足している部分が非常に多いです。
愛鳥が健康で長生きできるよう、動物病院がお手伝いできることや、日々の暮らしの中でできる対策を下にご紹介いたします。
動物病院で行う健康診断
身体検査
体重、体型、羽、口腔内、鼻、尾脂腺の状態などをチェックします。
そのう検査
感染症(トリコモナスやカンジダ)の有無を確認します。
便検査
感染症(寄生虫やメガバクテリア)の有無を確認します。また、未消化物が排泄されていないかどうかもチェックします。
レントゲン検査
心臓、肺や骨、関節、内臓に異常がないかを調べます。
血液検査
貧血や炎症がないか、肝臓、腎臓などの内臓に異常がないかを調べます。
感染症検査
インコ・オウム類の嘴羽毛病(PBFD)、鳥ポリオーマウイルス感染症(BFD)、オウム病(鳥クラミジア症)、鳥抗酸菌症、鳥ボルナウイルス病などについて、病原体がいないかPCR検査を行います。
健康診断の流れについて
- 予約はLINEでお取りください。月曜~土曜の午前中のみご予約が可能です。
- ご予約いただいた時間にご来院いただき、受付にお声がけください。
- 診察室にお呼びして、お話を伺った後、まず視診、便検査を行います。
- 続いて体重測定、触診・聴診、そのう検査を行います。
- 必要に応じて、感染症検査、血液検査、レントゲン検査をご案内します。
- 1週間以内に検査結果をご報告します。※感染症検査は1か月近くご報告までにかかります。
検査結果が出ましたら、お電話もしくはLINEでお伝えしますので、それからご来院ください。
検査結果に異常がなければ、飼い主様のみのご来院で問題ありません。
異常が見つかりただちに治療が必要なときは、愛鳥と一緒にご来院していただき、治療へ進みます。
自宅でできる健康診断
体重測定
最低でも週に1回は測定し、記録することをおすすめします。朝、フードを与える前の体重が比較しやすいです。急激に体重が増えたり減ったりしたときは、病院を受診してください。
食事量の測定
1日に食べた量がわかると、食欲が無くなったときにすぐ気づく事ができます。また飼い鳥では過食による生活習慣病が多く、体重と食事量を把握することが生活習慣を改善する第一歩です。ダイエットをするとき、シードからペレットへフードを変更するとき、体調不良のときは特に食事量の測定が重要です。
温度・湿度の測定
温湿度計を愛鳥が生活しているところと同じ高さに設置します。体調を崩しているときは特に体が冷えないように、28~31℃を目標に暖めます。一方、健康であるときは愛鳥が体調を崩さないかどうかを確認しながら、年中保温しすぎないことが重要です。自律神経が弱くなったり、過発情につながると考えられています。
排泄物の状態
鳥は、尿と便を同時に排泄します。便の形が崩れていないが水分が多い(多尿)、便の形が崩れていて粘り気や悪臭がする(下痢)、便の色が違う(緑色、黒色、白色)、尿酸の色が違う(黄色、緑色、赤色)場合は、獣医師にご相談ください。
身体検査
全身を触ることができるなら、胸筋や腹部の触診、体にできものがないかどうかのチェックができると病気の早期発見につながります。詳しくは獣医師にご相談ください。
様子の観察
羽や嘴、顔、体を膨らませている、あくびやくしゃみが多い、首が傾く、指を握りこんでいる、翼を震わせている、首を後ろにそらす、痙攣がある、などいつもと違う様子があるのでしたら早めに病院を受診してください。
ひなの育て方
ひなの時期は、あっという間に過ぎ去ります。
この短い時間の中で、卵から産まれたばかりの小さなひなが、何十倍も大きな成鳥になるためには、食べさせることが非常に大事です。
また心の成長のために、可能であれば親に育てさせる、兄弟と一緒に育雛することも大切です。
・挿し餌中は、小さな水槽かプラケースで飼育しましょう。
ひなの時期はまだ巣の中にいて、兄弟で温め合い、親から餌をもらうとき以外は巣でじっとしているのが普通です。
最初から鳥かごやケージで飼育すると免疫力の低下から、病気を招きます。
鳥かご・ケージに移ることができるのは、1人餌をついばみだして、それのみで体重が維持できるようになってからです。
・保温はしっかりと、挿し餌のとき以外は暗くしてなるべく寝かせます。
28~31℃に保温しましょう。遊ぶと体調を崩しがちになってしまうため、スキンシップは最低限にします。
・挿し餌はパウダーフードがおすすめ。
栄養のことを考えると、アワ玉よりもパウダーフードの方がおすすめです。60℃以下のお湯で湯煎して温め、42℃まで冷やしてから与えます。そのうを火傷させないために必ず温度は確認してください。固めを意識して、ひなが食べられるギリギリの固さで給餌します。インコの場合、チューブフィーディングではなく、スプーンで与えた方が良いです。スプーンにはたくさん餌を載せ、時間をかけないことを意識しましょう。
・定期的にそのうを触ってください。
定期的にそのうを触って、空になったら餌をすぐに与えます。1日2回と回数を決めるのではなく、1回に食べる量が少ないひなの場合は、1日何回も与える必要があります。1回に与える挿し餌の量は、そのうの8分目、もしくは体重の10~12%が目安です。そのうがなかなか空にならない場合は、「そのう停滞」の可能性があります。環境温度が低すぎないかを確認し、1日間、挿し餌をさらに2~3倍薄めて与えてください。また、そのうをマッサージして固まったフードを崩してください(吐いてしまうので、そのうがパンパンの時にはしない)。
・朝一番の体重を必ず測定。
健康であれば、毎日体重が増えていくはずです。体重が増加しない、もしくは減少する場合は、獣医師にご相談ください。
・1人餌への切り替えを急がない。
成鳥用のフードを入れておいて、見た目に慣らしておきます。1日の挿し餌の量を8~9割に減らし、それでも体重が減らなければさらに挿し餌の量を減らしていきます。挿し餌を与えないで体重が維持できるようになれば、1人餌になった証拠です。鳥かご・ケージで日中だけ遊ばせても大丈夫です。遊ばせる時間を数時間、半日、1日と徐々に長くして、ケージに慣らしていきます。
動物病院でのストレス軽減のために
キャリートレーニング
動物病院への来院もそうですが、お出かけ時や、万が一の災害時に愛鳥が受けるストレスを少なくするためにも、キャリートレーニングは大切です。
キャリーをケージの近くに常において目に慣らしておきます。徐々にケージに近づけていき、キャリーに怖がらなくなったら、キャリーの近くや中でおやつを与え、徐々に中に入れるようにトレーニングをする。中に入っても、すぐに扉はしめないことが重要です。
体重計に自分から乗れるようにトレーニング
鳥の健康管理において、体重測定は非常に重要です。
キャリーと似たようなアプローチで、体重計の上で、もしくは体重計の上に置いた止まり木でおやつを食べてもらいます。
知らない人の指や手に乗れるようにトレーニング
動物病院では、どうしても知らない人に触られるストレスが生じます。このストレスは、特に体調を崩している鳥では致命的になってしまう場合があります。そのため、色々な人に慣れておいてもらうことが大切です。
できる限り怖がらせないように、色々な人におやつを手渡しで与えてもらいます。怖がってしまう場合は無理やり渡さずに、近くに置いてそっとしておきましょう。何回も繰り返していくうちに、おやつをくれる人とわかってくれるはずです。
タオルで怖がることなく保定できるようにトレーニング
タオルの上でおやつを食べてくれるようにまずはトレーニングをします。続いて、タオルでトンネルを作ってそこをくぐったらオヤツを与える。ときどき、タオルを体にかけ、すぐにタオルを外し褒めておやつを与えます。タオルにくるんだ状態で、膝の上にのせてみます。
タオルでくるんでも怖がらずに持つことができれば、自宅での触診や爪切りが簡単になります。
発情抑制
犬や猫のように避妊・去勢手術を予防的に行うことが困難であるため、飼い鳥では性ホルモンや生殖器に関連した問題行動、病気が多くみられます。
飼育環境が不必要に発情をさせすぎてしまうことが原因と考えられています。
そのため、発情しにくくなるように飼育環境を変えることが、将来の病気を防ぐために大事になってきます。
光周期を調節する
ほとんどの鳥が、明るい時間が長くなると発情します(文鳥は短いと発情する)。そのため、明るい時間を10時間以内にするとよいと言われています。
ただし、ケージにカバーをかけたが、部屋は明るくて人の話し声がするという状況は、逆に鳥のストレスとなってしまい毛引きの原因となることもありますのでご注意ください。
発情の対象を管理する
発情対象となる物(鏡、人形、鈴など)がある場合は、取り除きます。ただし、愛着があるものを取り除くことも鳥のストレスとなってしまうため、完全には取り除かずに一定時間は入れておく、もしくはほかの方法で発情抑制をしっかりと行い、取り除かないで鳥の気持ちを優先することも大事です。
巣や巣材を取り除く
鳥は眠るため、安心するために巣は必要ありません。巣は繁殖に用いるものであるため、巣があると発情が促進されます。巣や巣材(紙、ワラ、チップなど)、潜り込めるものすべてを取り除きます。
保温しすぎない
小型鳥の多くは、暖かく湿度の上昇する雨季に繁殖します。そのため温度を上げすぎると発情につながります。体調を崩さない程度に、温度を下げましょう。
青菜を制限する
青菜のような緑草の存在は、雨季と勘違いさせてしまい、発情が促されます。シード食の場合、ビタミンは代わりにビタミン剤で摂取することをすすめます。
体重、食事管理
食料が十分にあり、環境が良いときに繁殖のスイッチが入ります。つまり、常に餌が豊富にある状況、身体維持に必要な量以上に摂取している状況は、発情のスイッチを常にオンにしていることになります。
体重、食事管理は最も効果の高い発情抑制法です。これさえできていれば、他の発情抑制法は必要なくなることも多いです。ただし、体重や食事量を、身体維持ができるギリギリにコントロールする方法であるため、きちんと管理できないと命にかかわります。
詳しくは、下記の食事制限、体重管理を参考にされてください。
軽いストレスは必要
ストレスを全く感じないと発情しやすくなります。運動や、軽度の寒冷ストレス、食事制限によるストレスは、必要であると考えられます。
食事について
主食として「シード」をメインで与えるか、「ペレット」をメインで与えるか、どちらが鳥にとって良いのか、それには答えがありません。
以下にそれぞれのポイントをお伝えします。
シード食
シードは、栄養バランスが悪くタンパク質やミネラル、ビタミンが不足するため、ビタミン剤の併用が必要になります。また、硬いシードが胃腸の負担になってしまうと言われています。一方で、殻をむくことを鳥が楽しむことができ、嗜好性が高いことがシード食のメリットです。
- 殻付き餌を与える
ムキエサやアワ玉は栄養価が低いため、アワ、ヒエ、キビ、カナリーシードが配合された殻付き餌を与えましょう。ひまわりの種や麻の実、エゴマ、サフラワーシードなどの脂肪種子は、おやつとして少量与えるのみとして、常時与えるのはやめた方が良いです。 - ビタミン源を用意する
野菜を与えて、ビタミンを補います。野菜のみでは摂取できないビタミン、ミネラルがあるため、必ずビタミン剤を併用してください。「ネクトンS」がおすすめです。 - ミネラル源を用意する
Ca源として、ボレー粉もしくはイカの甲(カットルボーン)を与えます。イカの甲の方が、カルシウムの吸収が良く、胃にも優しいためおすすめです。
ミネラル源としては塩土を与えるとよいと言われていましたが、胃の負担になってしまうため、現在はあまり推奨されていません。与えるとしても、週1回少量与えるのみで十分です。 - 換羽期について
換羽期は、タンパク質を通常よりも多く必要とします。カナリーシードを少し多めに与える、ビタミン剤を換羽期用のサプリメント(ネクトンBIO)に変えるなどして対応します。
ペレット食
ペレット食は、シードより嗜好性が悪く食べてもらうのが大変なのですが、総合栄養食であり、バランス良く栄養を摂取できます。胃の負担がシードよりも少なく、またいざ病気になったときに療法食のペレットに切り替えることが容易であることもメリットです。
- ペレットの与える量
少なくとも食事の7割はペレットにしましょう。何種類かのペレットを食べられるようにしておくことも大事です。胃の弱い子は100%ペレットにしてもよいです。繁殖期、成長期の時は専用のペレットに変えます。 - 副食について
食の楽しみを提供するため、副食を3割以下で与えます。ビタミンやミネラルのサプリメントは必要ありません。 - 換羽期について
換羽期はタンパク質を多く必要とするため、タンパク質を多く含む高栄養のペレットを多く食べさせましょう。
シード食からペレット食への切り替え方法
- シードを1日どのぐらい食べているかをまず把握しましょう。朝入れたシードの量を測り、次の日に殻を吹き飛ばし残ったシードの量を測れば、1日に食べたシードの量がわかります。まずは1週間、食べている量を測り、平均で1日に食べている量を算出します。
- 上のステップを行うと同時に、毎朝フードを与える前の体重を測定します。
- シードの与える量をステップ1で調べた、1日に食べている量の平均まで減らします。1度にその量を与えるのではなく、1日2~3回に分けて与えます。毎朝、体重が減らないかどうかもチェックします。同時に与えたいペレットをそのままエサ皿に入れて、目に慣れさせます。ペレットをすりつぶした粉をシードにふりかけて、味にも慣れさせます。
- 体重が減っていなければ、朝入れるシードの量を1~2割ほど減らしてみても良いです。空腹であれば、ペレットをついばむようになるかもしれません。体重は継続的に測定することが重要です。
- すぐには食べるようにはなりません。数か月はかかると思ってゆっくりと進めてください。拒食からの体重減少に注意してください。目の前でペレットを食べるふりを飼い主様がしてみると効果的であることもあります。
食事制限、体重管理
0. 重度肥満の場合は、ダイエットが命にかかわることもあるため減量の前に体重と体型のチェックが必要です。またフードは、できればペレットに切り替えます。シード食の場合は、アワ、ヒエ、キビ、カナリーシードの配合飼料にして、ビタミンやミネラルを補うためサプリメントを併用します。
1. シードまたはペレットを1日どのぐらい食べているか把握します。朝入れたフードの量を測り、次の日に残ったフードの量を測れば、1日に食べたフードの量がわかります。まずは1週間、食べている量を測り、平均で1日に食べている量を算出します。
2. 上のステップを行うと同時に、毎朝フードを与える前の体重を測定します。
3. フードの与える量をステップ1で調べた、1日に食べている量の平均まで減らします。1度にその量を与えるのではなく、1日2~3回に分けて与えます。体重は毎朝チェックします。体重が減ってくる場合は、そのままの食事量を続けます。小型鳥の場合、元気がなくなったり3日で1g以上体重が減る場合は、フードの量を戻してください。便の色が黒くなる時は、食餌の間隔を短くしてください。
4. ステップ3を1週間続けて体重が減っていなければ、フードの量を1~2割ほど減らして、体重のチェックを続けます。減量中はお腹が空くため、水の飲む量が増えたり、放鳥中に誤食してしまう可能性があるため注意してください。
5. 減量開始後も定期的に動物病院に受診して、体型のチェックや腹部の触診が必要です。特に羽の生え変わりである換羽期は、体重が減りやすいので、食事量に注意が必要です。
病鳥の看護
病気が治るかどうか、それには看護の知識が不可欠です。鳥の病気は薬を飲むだけでは治らないことも多いです。下にご説明することを参考にされてください。
保温が大事
鳥は止まっているところからすぐに飛び立つといった激しい運動を可能にするために、体温が41~43℃と哺乳類よりも高く、この体温を維持するためにかなりのエネルギー、体力を消費します。そのため、病気の時や換羽で調子を崩している時など、いつもより体力を消耗しているような時は、環境の温度を高く維持して、少しでも体温の維持にかかる鳥の負担を軽減してあげることが重要です。
28~31℃の範囲で保温をしてあげましょう。
・部屋を暖める
部屋が寒くてはヒーターを入れてもなかなか暖まらないため、エアコンもしくはオイルヒーターでまずは部屋全体を暖めましょう。部屋の温度が25℃あれば、別にペット用のヒーターを鳥の周囲に設置して、28~31℃にすることが可能です。エアコンのみで28~31℃にしてもよいです。
・ケージ・鳥かごを暖める
ケージ・鳥かごのままで保温するのであれば、外にひよこ電球(60W以上)、サーモスタットを設置し、サーモスタットのセンサー、温湿度計をヒーターと逆側の鳥がいる場所と同じ高さに設置します。ケージの周囲をアクリルケージやビニールカバー、段ボール、毛布で覆います。熱で溶けてしまう可能性があるため、これらは熱源の方には設置しないもしくは5cm離す必要があります。ケージ・鳥かごの前面は鳥の様子を見れる、光が入るようにビニールカバーにします。
・プラケースを暖める
小さいプラケースや虫かごで保温するのであれば、プラケース全体を横倒ししたガラス水槽で覆います。保温球をブックスタンドにかけて片側に設置します。サーモスタットを設置し、センサー、温湿度計は保温球と反対側に設置します。前面にビニールカバーをかけます。
プラケースで保温する代わりの方法として、プラケースの下に小動物用のヒーターマットを設置する方法もあります。プラケースの側面、上面、背面はフリースや毛布で覆います。温度が高くなりすぎる場合は、ヒーターマットの上にもタオルを敷き、タオルの厚みで温度を調節します。
・保温しているときは、鳥の様子を確認しましょう
温度が足りない場合は、体を膨らませている、足を触ると冷たい、温度が高すぎる場合は、開口呼吸、翼を広げるといった様子が見られます。
・湿度も管理が必要です
保温しているときは、湿度の確認も重要です。湿度が低いと体から水分が蒸発して熱が奪われてしまうため、体が温まりにくいです。また、呼吸器にも優しくないです。加湿には加湿器や濡れタオルを使用します。
食事について
鳥は高体温を維持するために、常に食べている必要があります。そのため、いかにして食欲を出させるかを知ることも大事です。
・床に餌をばらまいてみる
小型鳥の多くは穀物食であり、野生では地面に落ちている種をついばみます。そのため、種をばらまいていると本能から食欲が出ることがあります。
・あわ穂を与える
穂についているものを好む鳥もいます。与えたことがなくても、一度は入れてみることをおすすめします。
・カナリーシードを与える
カナリーシードが好きな鳥も多いです。タンパク質、脂肪がやや多く含まれますが、カナリーシードを多く与えることになっても大丈夫です。
・胃が悪い場合は、燕麦(オーツ麦)を与える
燕麦は消化しやすい種です。嗜好性も割と良いです。吐いている、黒い便が出ている、粒便が出ている場合に推奨されます。
・ケージを狭くする、止まり木を低くする
大きなケージのままであると、フードを食べるために動くのにも体力を消耗します。また、止まり木が高い場所にあると、なかなかフードを食べるために下に降りてきません。ケージを狭くして、止まり木をなくす、もしくは低い位置に設置すると体力の温存になり、フードを食べるためのハードルが下がります。
・ほかの健康な鳥が食べているところを見せる
野生では群れで生活を行っている鳥が多いため、他の鳥が食べているところを目にすると、安心して食べてくれることも多いです。
鳥の投薬方法
直接投与
直接、薬を鳥の口腔内に投与する方法です。確実な投与となり、薬の量が少ないため安価ですが、体を持つ(保定する)ことができないと投薬できません。また、無理に薬を飲ませようとして誤嚥してしまうリスクがあることもデメリットです。
薬は点眼ビンに入れた状態で処方します。一回に与える量は、ほとんどの場合で1摘です。
鳥の体をふんわりと持ったら、体を水平にして、口の端(口角)に1摘、薬を垂らします。薬を飲み込んだら、ケージに戻します。
指に水を垂らして口元に近づけることで、水を飲ませることが可能である場合は、薬を指に垂らして与えてもよいです。
飲水投与
水に混ぜて、鳥が水を飲むのに合わせて薬を飲ませる方法です。鳥の体を抑える必要がなく、1日に何度も飲むことで薬の効果が安定することがメリットですが、水の色や味が変わることによって、水を飲まなくなり、脱水症状を起こして病状が悪化する可能性があります。逆に、多飲多尿のため水を飲みすぎる場合も、薬の過剰摂取になってしまう恐れがあるため、注意が必要です。
薬は粉薬で処方します。一包分を25ml、もしくは50mlの水に溶かして、水入れに入れます(50mlに溶かす場合は、25mlに溶かすより薬を処方する量が多くなるため、価格が高くなります)。
後は、1日中そのまま置いておき、鳥のペースに合わせて飲んでもらうだけです。水入れにフードや便が入ってしまう場合がありますが、多少ならかまいません。
薬が下に沈殿しますが、1日数回混ぜてもらうだけで十分です。混ぜなくても効果があります。薬水は毎日交換します。
薬を混ぜた水を飲んでもらうため、水浴びをすること、野菜を与えることを禁止もしくは制限してもらう必要があります。
飲水拒否をして脱水症状を起こさないか、注意も必要です。食欲低下、ふらつき、元気がない、尿が極端に少ないことが見られた場合は、すぐに新鮮な水を与えて、薬を混ぜるのを中止してください。動物病院にもご連絡ください。
全く飲んでない気がするが、食欲もあり便・尿もしっかりと排泄できている場合は、実は隠れて飲んでいると思われます。ご心配であれば、飲水量のチェックをしてください。
飲水量のチェック
朝、水入れに決まった量の水を入れます。また、同じ大きさの容器に同じ量の水を入れ、ケージの外、鳥が飲めない場所に置いておきます。これは水が蒸発した量を調べるために必要です。
夜もしくは翌朝に、水入れに残った水の量を計測します。ケージの外に置いてある容器に残った水の量も計測します。そこから、ケージ内の水の減った量、ケージ外の水の減った量を算出できます。
ケージ内の水の減った量から、ケージ外の水の減った量を引けば、飲水量がわかります。